2016.7.5

第1回口頭弁論 宮部・三品 記者会見

 

宮:私は、同和行政に興味を持っていた。「部落民って、誰?」「部落って、どこ?」という問題を追及してきた。今回一番大事なのが「部落民って誰なんだ」ということ。だから、原告に当事者適格があるのかということ。被差別部落出身者といっているが、証拠は何処にもない。法律上、被差別部落出身というのは存在してはいけないし、非常にあいまい。この全国部落調査は、東京都清瀬市にある社会事業大学の図書館で見つけた。

 

記者:今日の裁判で、被告はどのような主張されたのか?

 

宮部:基本的に書面。同和教育の作文みたいなものを読み上げていた。次回は、これに対する私の反論。

 

記者:そうすると、今回の主張は原告適格を争うという部分のみという理解ですか。

宮部:原告適格だけではない。「全国部落調査」というのは、解放同盟とは何も関係がない。中央融和事業協会が80年に作ったもの。なんで、今の解放同盟の部落出身と言っている人に関係があるのかということ。

あと、「同和地区wiki」を全部、私が作ったと言っているが違う。ウィキペディア方式なので、みんなで編集している。現住所を調べたり、解放同盟人物一覧なんかも、誰が作ったか、全然しらない。ネットで同和地区を検索したら「同和地区.COM」というサイトが出てくるけど、あれも自分ではない。私に仮処分をかけても、どうにもならない。

 

記者:被差別部落出身者などは法的に存在しないと言うけど、過去には、部落差別を扱った裁判もあるのでは?裁判の実務の中で、事実上認められている部分があるのでは?

 

宮部:新潟でそういう裁判があった。あれは、被告側が最初から部落出身者の存在とかは認めていた。でも、部落民は誰なんだということを問題にした訴訟は、いままで私は確認出来ていない。滋賀県との裁判の最高裁判決も、プライバシー侵害とか、そういう部分は逃げていた。判決としては行政側の事務事業を妨害するという判決内容だった。

 

記者:今回の本の出版の社会的意義は?

宮部:すごく意義がある。ネットにものっているので、記者のみなさんも、ぜひこの部落を回ってほしい。実際に見てほしい。部落差別があるというけど、どこに差別があるのかと。解放同盟だけの主張ではおかしい。一部のことを部落全体のように言うなといいたい

・実際、徳島の部落に行ってきたが、地元の人に聞かなくても、ここにはこんな問題があるなと分かるような場所もある。ある意味、差別があるって言ったら、明らかにやっぱり格差はある。このように自分で判断するためには、どうしたらいいのか。どうやって部落を調べるのか。どうやって議論するのか。

・同和地区の場所も、今さら、地名総鑑があるから分かるって言うわけじゃない。例えば隣保館の場所。この隣保館のある場所の9割以上が同和地区。隣保館の一覧もある。厚労省もお金出して、認めている。

・滋賀県の裁判は、同和地区の場所でなく、隣保館の場所を開示しろという裁判。だけど、隣保館の場所は同和地区だと裁判所が言って、それで非公開になった。その時々によって、同和地区だったり、同和地区じゃなかったりする。

・大阪市の同和事業の場所がわかる一覧もある。解放同盟中央本部が作った本をヤフオクで売ったけど、この書籍は解放同盟は何も言わない。

・行政や歴史だとかの本、図書館にもおいてある。同和地区の名前はバンバン出てくる。

・だから、全国部落調査が発売禁止になってしまうような状態で、何を議論するんだってこと。そういう面では価値がある。社会学の研究としてもいい。部落だったところにどんなお寺があって、どんな宗派があるのか、いまはどうなっているのか。

・公然の秘密の状態になって、まともに議論できないことが問題。だから、部落の場所がオープンになったら、いろんな問題が議論できる。

 

記者:原告は、出版することで、部落の人たちへの差別が深刻化すると陳述していた。

宮部:あの人たちは、洗脳されている。僕は鳥取で、同和教育を受けてきた。部落の子に差別された経験を話させていた。そういう差別体験の作文とかを、子どもに書かせていた。そんなことやったら部落の人は洗脳される。だから、今回の陳述を見て、同和教育の作文だと思った。

・差別がひどくなるっていうのは、二重におかしい。全国の部落が差別されているわけでない。富山県や石川県なんか同和地区指定は一カ所もしていない。もう跡形もなくなっている部落もある。全国部落調査には、そんな部落も載っている。

・差別されているというのは、あくまで解放同盟の人の考え。確かに問題の地域があることは否定しない。でも、それを部落問題全般のように言うのは、逆に偏見じゃないか。

・全国部落調査がネットに出たのが今年の1月5日。「そんなに深刻な問題だったら、自殺者の一人や二人でも出てるかと思ったら、まったくないわけです。」部落に住んだからといって、じゃあ、どうっていうものでもないし、問題はもっと別のところにあると言いたい。

・隣保館を残して、場所によっては隣保館が部落の自治会の会計までやっている。そんなことをやっていたら、いつまでもたっても地域が自立できない。改良住宅も古いものを残し、建て替える予算がないんだったら、地元住民にお金を積み立てさせて買い上げるようにするとかしなければいけない。そういうことを解決しないで「差別だ、差別だ」とこんな作文で言っても何もならない。

記者:地名リストの公開でなく、論文や雑誌、書籍で問題提起して主張すれば?部落の地名リストの公開は、部落解放同盟をはじめ当事者から激しい反発があることを考えると、問題提起の方法としては、どうなのか?

 

宮部:実際、私も『同和と在日』という雑誌や、『部落ってどこ 部落民って?』という本も出している。地名リストばかり出しているわけではない。解放同盟が反対するから、言うことをきけというのは、「エセ同和に従いなさい」と言っているのと同じ。部落民が「差別だ」といえば、みんな従うのか。

 

記者:原告はヘイトスピーチと同じような被害を受けているとの印象を持っている。今回の出版は違うものだと考えていますか?

宮部:ヘイトスピーチの定義って何?法律には全くひかっからない。自分が気に入らなきゃ、あの人たちにとってはヘイトスピーチなんでしょ。

三品:私はライターをやっている。2009年頃に民主党の批判文を出したら、ネット上ではヘイト本だとやられて、ひどかった。あの人たちは気に入らないものを、なんでもヘイトだというのは、それこそ反知性主義だと思う。

宮部:地名リストがヘイトスピーチなら、配布資料にある長野県や大阪の資料なんかも、ヘイトスピーチになる。

 

記者:なぜ、「部落民って、だれ?」ということに関心を持つようになったのか。なぜ、全国部落調査の復刻版を出そうと思ったのか。著書には、滋賀県の裁判での同和地区の公開などは、運動団体に対する嫌がらせ、おもしろがっていあっていると書かれていた。それが、エセ同和対策だ、部落問題解決のための一助だとか、だんだん論理がすり替わっているように思う。

 

宮部:滋賀県との裁判は、運動団体というようより行政訴訟。論理がすり替わっているというが、結局いろんな理由がある。裁判では、いろんな説明を求められるから、その都度に説明しているだけ。それを論理のすり替えといわれるのは不本意だ。

 

記者:地区名を出すことは一貫してやっている。その意味を問うと、著書には、運動団体に対する嫌がらせだと書いている。

宮部:それは書いてない。どこに書いてあるのか。

 

記者:『部落ってどこ? 部落民ってだれ?』に書いてある。

(同書8p「いたずら心」17p「嫌がらせ」63p「挑発」79p「痛快」141p「あてつけ」)

宮部:何ページ?そんなこと書いていない。僕は行政がおかしいといっている。結果的には運動団体に対する嫌がらせになるでしょうね。だけど、嫌がらせだったらどうなんだと。今回、解放同盟に対する業務妨害と言っているけど、じゃあ、共産党を批判するもの業務妨害かと。

・解放同盟は、「部落地名総鑑は、差別にしか使えない文書だ」という。じゃ、部落地名総鑑のもとになった資料は何かと言えば、全国部落調査じゃないか。戦前の融和事業で作った人は、これを差別目的で作ったということか。もう、これ以上の反論はないでしょ。

 

記者:部落民って誰っていうことに、なんで興味を持ったのか?

 

宮部:結局、同和行政とかを追及していくと、そうならざるを得ない。部落民かどうかというのは実はものすごく曖昧。私の地元の部落でも、部落外の町内会に入っている人が、固定資産税の減免を受けたりとかしていた。部落民じゃなくても、部落の町内会に入れば、部落民だとの扱いもあった。そうやって部落民だと騙して、同和対策事業を受けている人もいた。部落に住んでいる人でも、明治や大正期に、そうとう移住してきている。だから、部落民かどうかは、すごく曖昧。それを無批判に議論するのがおかしい。

 

記者:そういう例が無いとは言えないけど、そういうのは極めて少数派であり、少数の例をもって、一般するのは、偏見だと思う。

 

宮部:じゃあ、部落民だっていうのは、何を持って証拠とするのか?

 

記者:そう見られてるってことですよね。

 

宮:見られてるっていうのを裁判の証拠として、じゃあどうやって出すのか。「皆さんに見られてます、この人は部落民です」っていろんな人に書いてもらう、証言してもらうのか。

 

記者:そういう話じゃない。

宮部:じゃあ、どうやって証明するんですか。

記者:それは周辺との共通認識じゃないですか。

宮部:じゃあ、嘘つきまくって、俺部落民だって言いふらしてりゃあ、そのうち既成事実化しますよ、いくらでも。

記者:それは特殊な例だと言ってるんですよ。それを普遍化できないって言ってる。

宮部:それは特殊でもない。解放同盟員の全国一覧があるけども、地元で聞いたらこいつ地区外だよみたいなね、こというやついるんですよ。

 

記者:だから、いないとは言わないけど、そんな一般化できる話ではないと言っている。

 

宮部:とにかく一般化できる。法律上Aさんが部落民だってことを証明するのは、そういう周りの考えとか、そういうのしか無いわけでしょ。それで証明になるんですかってこと。

 

記者:なるんでしょう。

宮部:じゃあ、それはあなたの考えですよ。じゃあそれ裁判所に言ってみてください。裁判所の判決書にね、Aさんは部落民ですって、ぜひ公文書に書いて下さいよと。

 

記者:あなたの論理でいうと、じゃあ、私が部落民じゃないということを証明しなさいって言われたらどうするんですか?

 

宮部:ないことの証明って、それは悪魔の証明。あるっていうなら、あるっていう方が証明するのが筋だ。あるって言うんだったらあるっていう証拠を出して下さい。証拠が出せないなら無いということ。証拠が出せないっていうのが部落民では無いっていう証拠。

 

記者:じゃあ、なぜ差別があるの?

宮部:まず、差別という言葉の定義がすごく曖昧。解放同盟東京都連が、皮革技術センター発行の『皮と履物』の文中に、部落の地区名を削除して発行していたことが、差別事件だとして取り組んでいる。これが、差別ですか?

 

記者:差別があるか、ないのか。なぜ差別があるのか、質問に答えていない。結局、解放同盟に対する嫌がらせしょ?それを認めたらいいんじゃないですか?

 

宮部:ただ、嫌がらせといってもね。解放同盟がおかしいと、相手がぐうの音も出ないようなデーターを出して、相手が困ったら、解放同盟に対する嫌がらせになるのか。確かに、嫌がらせですよ。だけど、それを法律上の責任を追及されるべきようなことか。そんなことで、法律上の責任を追及されるんだったら、議論なんかできない。相手にとって都合が悪いことを嫌がらせというなら、どうぞ法的処置をとって下さいと。だから裁判している。

 

記者:『全国部落調査・復刻版』はまだ、出版されてないのか?題名を変えて、同じ中身では出しているわけですよね?

宮部:題名をかえて同じ中身でというか、ただ、印刷した物に関しては、頒布したものはない。これも個人的に作っただけ。

 

 

記者:同じ中身で題名変えた物はあるが、売っていないんですね。あと、仮処分の書類をヤフーオークションにかけるのは、裁判所に対する挑戦で、かなり心証が悪いのでは?

宮部:別に、仮処分の書類を売ってはいけななんて法律はない。心証悪いんだったら、別にそれでいい。心証悪くして、また、むちゃくちゃな判決書いて下さいって思う。

 

記者:正当性を訴えて裁判所に認めてもらいたいなら、裁判所の心証を悪くするようなことをなんでするのかなあと思うんですけど。

宮部:ていうか、心証悪くなるんですかね、あれで。僕は裁判官が何を考えているのか分からない。ただ、裁判官は相当びびっていると思う。今日も警備の人たくさんいて、僕も囲まれて入った。裁判所は、やっぱり部落が怖いのかって、そういう感じはした。

 

記者:根本的なことを聞きたい。宮部さんは、部落差別による被害の存在ってものを肯定しているのか、否定しているのか。

宮部:あのね、結局ね、差別っていう言葉がね、何でもありになっちゃって、差別があるなしっていうと、こういうものまで差別ってされてるから…。

 

記者:これまでの部落差別による被害の存在ってものを、肯定しているのか、否定しているのか、それだけ聞きたい。

宮:過去の部落差別の被害の存在ですか?

 

記者:部落差別の被害があったのかなかったのか、宮部さんの認識の中では。

宮部:それは、差別によるものかって、なかなか難しいけど、現状確かに、明らかに被害を受けてる部落があるっていったらありますね。過去にあったっていうんじゃなくて、現在進行形で。現在進行形であります、それは。だけどそれを差別っていう言葉で一括りにするとね、問題が見えてこないんですよ。じゃ差別って何ですかっていったら、こんなことまで差別ってされるから、じゃこの問題解決してね、じゃあその被害なくなりますかっていったら、なくならないですから。

 

記者:個別の事例を一般化するのは僕はおかしいと思う。部落差別の被害があるかないかっていったら、現実にあるって宮部さんはおっしゃってますよね。過去にもあったし今もあるわけだし。そう考えた場合に、宮部さんは何をやりたいの?

 つまり、差別をなくすためにやりたいのか、それとも構造的な問題を明らかにするために主張されたいのか。であるならば、なにも住所をあえて暴露的に出すことにどれほどの宮部さんの運動に寄与するのか、よくわからない。要は、地名さらしたいだけなんじゃないかって、僕は思ってるわけです。みんなから注目されたいわけでしょ。地名さらして注目浴びたい。結局動機ってそこじゃないですかね。

宮部:私は、東近江市とも裁判しているし、鳥取市とも行政訴訟している。同和対策減免の裁判。そもそも同和減免って、解放令に反するでしょ。行政が違法行為をやっている。解放令には、部落の税の減免をやめろと書いている。なのに昭和になって減免している。だから、おかしいと裁判したが、却下になった。減免した部落が特定できないから。じゃあ、裁判所は自分で部落の場所を証拠として探して来いということかと、自分でどんな資料があるか、あれこれ調べていたら、これが出てきた。そういうこと。

 

記者:同和地区の地名を広く知らしめることに、どんな意味があるんですかね。宮部さんご自身が、税の減免に関して闘ううえでね、それを必要とされるんであれば、それは否定はしない。でも、あえて全国の地名を、いわば知らしめることに、どれだけの社会的な意味があるのか、まだぜんぜんわからない。

 

宮部:逆で、じゃあ隠すことにどんな意味があるかって考えて下さい。100年後もこれ隠します?出版禁止にしますって?100年後の世界の人はね、これを隠す理由をどう説明します?じゃあ、いまだ差別があるからって言うんですか?100年後の人も。じゃあそれ100年後も差別なくすつもりないってことじゃないですか。そういうことです。

これ80年前の本ですから。じゃあ今見てどう思うかってこと。80年前の人が、今から80年後にまさかこれが発禁処分になるとは思わなかったでしょうね。じゃあこれから80年後も発禁処分にしますか。その時どういう理由説明しますかってことですよ。

 

記者:わかりました。今日、原告側の陳述が、三点あった。1つは結婚差別・就職差別を助長するんじゃないかと。もう一つは、国や自治体や企業などがこれまで成し遂げてきた成果を破壊する行為ではないか。三番目が現在の解放運動、これまで努力を重ねてきたものを破壊するのではないかと。三点を陳述されたが、聞いて、どう思ったか?

 

宮:その努力の結果がこれでしょ。(ネット上には)同和地区2000個所ランドマークが立ってるんですから、これが努力の結果ですよ。こんなもん、こんな努力の結果なんか壊した方がいいでしょ。

 

記者:今日の陳述に関してどのように思われたか?

 

宮部:陳述に関しては、同和教育の作文ですなって思いましたよ。こういうことを作文で書かされましたなぁと、昔は、部落の人たちは、と思いましたよ。そういうことで。