2016.9.26

第2回口頭弁論 宮部龍彦の記者会見

 

宮:示現舎の宮部と申します。今回第2回口頭弁論だったわけですけれども、おそらく記者会見は今回で終わり、とりあえず今回でいったん終わりということになると思います。

前回は、弁論前の手続きであったわけで、実際その中身に対する争点というのはほとんど出てこなかったんですけども、今回は一部、この件に関しての争点というのがだいたい一通り出てきたということになります。

相互の主張、概要をお渡しします。

原告側の主張も含めてなるべく、向こうが言いたいんだろうなというものを抜き出すようにしています。

 

報道なんかで伝えてるのが、解放同盟の方が、被差別部落出身者と言ってるんですけど、私はそれ言うのは法律的には認められないし、社会的にも学術的にもおかしいということを言ってるんですね。それで向こうは、私がだから差別はないだとか、責任逃れのためにそういうふうに言ってるじゃないのと、言われてるんですけども、やっぱり被差別部落出身者というのが、何なのかということになると、ちょっとほとんど突き詰めていくと、それは法律的には、まずあってはならないと向こうも言ってるわけですね。

 

社会的、学術的にどうかっていうと、やっぱりこれはどう考えてもおかしいだろうという、今回の裁判でも、論点にしても、解放同盟関係者一覧というのはともかくですね、全国部落調査について、被差別部落出身者だから裁判当事者になる資格があるんだっていうことにして、じゃあこれで裁判所が認めてしまうとですね、

 

例えばハンセン病患者の裁判で国の賠償が認められたっていうことになると、ハンセン病患者については医療施設にいたという人は誰かと特定出来るので、それで国は賠償金を払うということは理屈としては成り立つんですよ。

 

この被差別部落出身者に関しては、そういうものをまず裁判所が認定するっていうことになると、裁判所が言ってみれば人別帳というかですね、江戸時代に寺がこの人は部落出身者だと台帳に書くようなことを、裁判所が今の21世紀になってするのかっていうことになってしまうんですよね。そこはまず法律的におかしいんじゃないかということです。法律上の議論で行くと、これはあくまでも一般国民が一般国民の立場として、私のことを裁判で批判しているというふうに考えざるを得ないんですがね。社会的に、学術的にもということなんですよ、全国部落調査、私は  の図書館で見つけてから、いろんな人が 私にメール送ってくる人もいるんですけども、実際に全国部落調査の  地区っていうのを調べてみるとですね、どう考えてもエタ・非人とは関係ないっていうところが、賤民とすら関係ないっていうような地区っていうのが出てくるんですね。

 

例えば私の出身、鳥取県なんですが、これも裁判したんですね。鳥取県で穢多村って書いてるような地域がある   の文書に載ってるんだけども、全国部落調査には出てこないという場合がある。全国部落調査に載ってるんだけども、同和地区指定されてないというケースがある。三重県とか他の地域でいくと、昔の歴史の研究書を見ると、明らかにこれはスラムだと、賤民に由来するという証拠ないということは明記されている地区もある。草津の  なんかそうです。熊野市の有馬町というところなですけど、それは全国部落調査にあるんですけども、調べてみると、そこはよく時代劇というか戦国物に出てくる、雑賀衆の末裔が住んでた部落なんですね。

 

雑賀衆っていうのは 武士なんですよね。武士の中でもどっちかというと最下層のほうなんですけども、そこは住民の方が、自分たちは武士の子孫だからということで、全国部落調査の20年後、1960年代ぐらいに石碑を建てて、その後も同和地区指定された形跡というのはないです。だから少なくとも、あの資料をもとに調べていくと、学術的にエタ、非人の子孫っていうのは、被差別部落出身者なのかということに対しては、これは疑問が出てしまう。

 

だから、解放同盟200何人の人が来てる、あの人なんだという、やっぱり考えてみるとおかしなことなんですね。解放同盟は東京都連合会というのがあるんですけどね、東京都に解放同盟の連合会があるっていうのもすごくおかしな話なんです。これは、東京都というのは同和地区指定してないんですね。だけど全国部落調査を見ると、練馬区にけっこう大きな部落があるんです。500世帯ぐらいのけっこう大きな部落があるんです。

じゃ、練馬のあそこの部落に住んでいる人を、部落出身者だとかね、言いますか、ということになってしまうんですよ。あの人達はそれでも部落だ、地方の部落出身なんだというふうに言ってるんですけども、例えば全国5600ぐらい部落名が載ってるわけですから、そこに何かしらつながりがある、両親が住んでたとか、自分が住んでたとか、そういったつながりの有る人は東京都内無数にいるはずです。そういう人たちが、おそらく99%の人は自分が部落出身だなんていうことを、たぶんまず知らないというのもあるし、じゃ全国部落調査に載ってたから何なんだっていう話になるっていうのは、それは常識的な考えだと思うんですね。

解放同盟に行ってる人は、部落出身者だって言って法廷で主張するっていうことはそもそも成り立たないんじゃないかということは私は主張してるんですね。で、全国部落調査っていうことは関係ないっていうのはそういった理由です。

 

この裁判、ねじれた部分があってですね、解放同盟さんの方は、対外的には全国部落調査の出版はけしからんということを、対外的には言ってるんですけども、今回裁判官がちょっと強面な人だったんですけども、裁判官 興味あるのはやっぱり部落解放同盟人物一覧なんですね。あの人物一覧に対しては、はっきり言って、これは当初から言ってるんですよ、私が載せたんではないです。

 

部落解放同盟だけじゃなくて、全日本同和会とか、全国連だとか人権連とか、すごいマニアックなところで、埼玉県にある部落解放愛する会とか、そういうのがなんか名前が載せられてるんですよ。たぶん誰かがそういう、おもしろがって載せてるか、でもあんなの普通の人は知らないですから、ひょっとしたら行政関係者かもしれないし、そうとうなマニアかもしれないし、下手したら団体の関係者っていうこともあるんですよ。

 

そういう人は、ウィキペディアと同じウィキサイト、誰でも編集できるので、それは僕が載せたんじゃないし、ウィキサイトなので、誰でも編集できるので、そういうものに関してはプロバイダー責任制限法が適用されるので、本来であれば、誰が書いたかというのを私というか、サイトを運営している人だとか、プロバイダーとか、そういうところに開示請求をして、誰が書いてるかっていうのを調べてから対応するっていうのが、本来のプロバイダー責任制限法の趣旨ですので、それをせずに、私もドメインうってたから、私の方に一方的にサイトを全部消せというような形になっているので、実際この人物一覧を書いてるのが誰かとか、そういうことはもう今は分からなくなってる状態でして、

 

ただ、そこで解放同盟はお前が書いたんだろうということで、私が書いたんだろうという主張しているような そういうことです。たぶん記者の方の興味は、どちらかというと全国部落調査の方だと思います。私も、双方、原告被告もそうだけど、興味があるのは、全国部落調査の方でして、部落解放同盟関係人物一覧に関しては、私はっきし言ってこれはあまりどうでもいい話っていう、そういってしまえば語弊があるんですけども、やっぱり一番の関心は全国部落調査のことですので、このことに関しても一応私としても主張しています。

 

主な主張内容が、部落の場所を書いてあるようなものがですね、非常にありふれてるんですね。これは記者の方、私も個人的に同和関係で取材してると、地元の記者の人なら分かると思うんですけど、みんなそろえて言うのは、同和地区の場所っていうのはすぐ分かってしまうよっていうふうに、やっぱり滋賀県だとか、そういうところで、なぜ分かるかというと、まあ特に滋賀県なんか見れば分かるというところがありまして、隣保館があるんですね、隣保館は同和地区の目印でないっていうふうに向こうは言ってるんですけども、これは間違いなく目印なんです。解放同盟もむかしそういう身元調査、差別事件糾弾ってやったんですけど、今回は資料出してないですけども、やっぱり探偵がその隣保館を目印に、隣保館の隣に住んでるから、部落ど真ん中だとかそういうような調べ方をしてるんですよ。隣保館に関しては公の施設で誰でも場所は分かりますし、  昔の市史とかですね、町史とかそういう文書を国会図書館で調べると、 隣保館ありましたよ、同和対策で作りましたって書いてあるので、そういうことで分かってしまうんですね。

 

そういう実情があって、同和地区の場所かっていうのは隣保館以前に同和対策をあからさまにやってたとこに関しては、もう消せない状態っていうか、手遅れのような状態になってるっていうのが私の考えなんです。

 

お配りしたのは、これは同和地区実態調査報告書 昭和38年度、これ国立公文書館が所蔵している資料で、公文書館がこれ公開してるんです。公文書館にこれ出して下さいって言ったら出してこられてですね、これには大阪市の西成です、西成出城っていう大きな部落なんですけど、大阪自体も同和地区の場所の地図上マッピングしてあって、西成出城の当時の地図まで載っています。

 

この場合は調査対象になりました、部落ですよっていうようなことが書いてあるんですね。これ公文書館がなんで公開したかっていうのを、公文書館に聞いてみたことがあったんですけども、国立国会図書館にも同じようなものがあるからって言うんですね。国立国会図書館で実際調べるとですね、昭和38年の頃っていったら、部落解放同盟だとかそのあたりの団体が同和対策事業特別措置法を制定してくださいっていう運動をしていた頃なんです。それでこういう差別の実態があるじゃないかということで、こういう精密調査報告書を清書して活字化して、カッパ印刷にしたようなものを本にして出してるんですね。国立国会図書館に行けば、昭和38年この年代の資料を調べたらそういうものが出てきて、こういう地図だとか、実際ここは同和地区として精密調査の対象になったかっていうのはみんな出てきます。

 

解放同盟側はそういったものに関しては、もう一般の人はアクセス出来づらいようになっているとかですね、あくまで研究目的なんで出版部数が限られるって言ってるんですけども、じゃあなんで私が現にこういうものをなんで見れるんだっていうところなんですね。

 

昔と違って、図書館とインターネットの境目というのが、今はなくなってきている。例えば、 国会図書館サーチだとか  検索すると、どこにそういうものがあるかっていうのがすぐにぱっと出てきます。どこそこの何県 地名で、部落とか同和とか解放とかそういう言葉で検索すると、あぁこの地域は部落なんだっていうのが直ぐ分かる。だいたい出てくるのは行政資料とか解放同盟関係の資料とか。

すごいのはグーグルブックスですね。これはミシガン大学という海外の、日本の文献を集めてたような大学の図書館の資料を、どんどんスキャンして載せていって、グーグルはOCRにかけて検索可能にしているので、グーグルブックスでまた検索すると出てきますし、

 

あと国立国会図書館は電子化して公開している資料を見るとですね、戦前の融和事業要覧とかそういうものが出てきてですね、それを見るとその 融和事業の大会がありました、どこそこの融和団体の人が出席しましたというのはリストとして載ってて、出席者の住所とかも載ってるんですね。その住所なんかみるとほとんど全国部落調査に載ってるようなところでして、だからその今はもう自宅にいながら国立国会図書館のデジタル資料を見るともう、部落の場所が分かってしまう。そういうものがダメだっていうふうに言ってしまうと、もうことごとく非公開というか、そういうことにしてしまわないといけない。なおかつ、全部チェックするっていうのは、たぶんほとんど不可能な話なんです。

 

そこでも解放同盟は全国部落調査は全国的だからダメなんだ、他のはせいぜい都道府県単位だからいいんだ、っていうふうに言ってるんですけども、まあ今回の訴訟では一部抽出して出版したりするのはダメだっていうふうに言われてるので、その辺りの整合性がどうかというところです。

今回のあらましというのはだいたいこういったところです。

 

記者:今の裁判に提出された書証を含め、どれくらいの期間を掛けて調べたんでしょうか。

 

宮:どれぐらいの期間っていうと、十年ぐらいこの問題を追究しています。

ただ、全国部落調査を見つけてから、加速度的に進んでましてですね、私の所にメールを送ってくる人がいるんですよね。こんな資料を見つけたぞとか、これはプロじゃないかという人もいて、まあ実際プロというか研究者だと思うんですけど、そういう人からメールが来てですね、公文書館の資料これを見つけたのは五年ぐらい前の話で、これは私が直接見つけたわけじゃないですけど、

 

記者:十年以上の手間がかかっていて、公文書館や国会図書館ももちろん簡単にサーチができますが、手間暇がかかるわけですね。

 

宮:手間暇というよりはですね、十年前と今とでは格段に違うわけですよ。

 

記者:それはわかります。要は、誰でも調べられるんだけども、誰もが調べるわけではないわけですよ。リテラシーや操作方法や、どこに何があるって調査方法はある程度わかっていないと、それは分かれば誰でも出来るんだけども。何が言いたいかっていうと、ウィキとか書籍にすることによって、その辺がめんどくさいから出来ない人も一気に全国検索を掛けられるようになったということでは、格段に利便性を増すような、情報の加工を宮部さんが行ってるってことになるんじゃないかということです。

 

宮:私が行ったというより、やっぱ公文書館とか国立国会図書館関係とかもそうですしね、技術の進歩

 

記者:あれは、公文書館や図書館に部落リストって書いてあるわけじゃなくて、そこは一定のキーワードを入れて、一枚一枚めくっていくと、その中にいくつかあるってやつなんですけど、それを全部寄せてこれさえ開けば全国分かりますっていうのが宮部さんの仕事なんじゃないかと。

 

宮:これは全国部落調査のことですか。

 

記者:全部そうです。こういうふうに、こんなに載ってるというのを、コピーを取ってきて、裁判所に提出するというのは、宮部さんの仕事

 

宮:そりゃあそうです。ただ、出してる文献のうち、私が直接見つけたのは、三分の一ぐらいです。他はこんなのあったとか。実は私あの、こういう資料を調べるっていう、本格的に興味を持ったのは、それこそ三年か四年くらい前の話で、それ以前は行政訴訟をやってたので、あくまでその一環として調べてたので、その時からこういうのはちょくちょく見つけてたんですけども、本格的にこういう資料を集めようっていうふうになったのは四、五年前の話でして、

 

記者:どうも話がかみ合ってないと思うんですが、つまり、普通の人ではめんどくさいんですよ。普通の人にはめんどくさいものを

 

宮:めんどくさいというか、興味がないと思います。

 

記者:だから、興味がない人でも、宮部さんのとこのウェブなり同和ウィキなり、全国部落調査復刻版を見れば、興味がない人でもすぐ調べられるような状況に持ってきたっていうようなことはあるんじゃないかと。

 

宮:確かにその通りです。僕としてはやっぱ、出版するってことは、いろんな人に見て欲しいっていうところがあるんですよ。だからそれに、どういう手間がかかるかっていうのはともかくとして、やっぱり研究っていうのはそういうことですからね。

 

記者:これは研究なんですか。

 

宮:研究です。これを見てから、特に全国部落調査が見つかってから、最初に言ったように、そもそも部落っていうのが何なのかっていうことに、今までの常識が変わるくらいのインパクトがあるんですね。

1935年に出された資料 戦前の融和事業をやってた頃の部落の場所っていうのに関しては、あれはもう一級資料ですねあれは。1935年っていうのはですね、融和事業というのが、ま、融和事業の最盛期です。水平社っていうのがだんだん下火になってきて融和事業が最盛期を向かっていくのが1935年で。その後1941年に同和奉公会っていうのが生まれて、そこで同和事業とか、同和地区とか、そういう出てくるんですよ。

その当時に部落というものがどうもので、融和事業というものがどういった地域を対象にやってたかっていうことを調べるためには、あの資料というのは欠かせないものですよね。

 

記者:何度も言ってるのは、そういうのは見つけるのが大変なんですよ。よほど興味のある人は、ノウハウを持って手間暇をかけないと見つけられないわけですよ。それを一気に誰でも見られる状態にしたというのが宮部さんの仕事ではないかということです。

 

宮:それこそ、学問だし、調査報道もそうですからね。記者の皆さんがやってるのも、普通の人だとすぐ分からないようなことを、調べるっていうのが、調査報道ですから。

 

記者:それが何のために、誰でも検索できるようにしたのか、つまり、研究論文だったら、こういう目的があるという説明があるわけですけど、基本的に宮部さんが出されてるのはリストですから。価値が中立的で、それはどういう目的だからこういうふうなために、こういうふうにここの部分を取り出して使ったというんじゃなくて、網羅的なリストを出してるというのが、研究目的というのが、やっぱり今ひとつわからないです。

 

宮:例えば、部落に限らずですね、平氏の落ち武者の苗字のリストとかね、落ち武者部落の一覧とかね、忍者とゆかりのある苗字の一覧とかそういうものとか、一覧しじょうというのは図書館の参考図書コーナーに行ったらいっぱいありますよ。人名辞典だとか地名辞典だとか。

 

記者:だからその、忍者の末裔だといって、結婚や就職にさわる人はいないと思うんですけども

 

宮:でも、忍者って賤民なんですよ。

 

記者:だからそういうことを言ってるんじゃなくて、要は、結婚差別や就職差別に使われるということを心配して言ってるのが今回の訴訟のね、原告側の主張なわけですよね。

そういうものにも悪用されかねないものであるということに対する、それは研究目的だからいいんだっていう話になるわけですか。

 

宮:まず、悪用されるっていうふうにあるんですけどね、じゃあ具体的にどう悪用します?ってことですよ、これを見て。

悪用というイメージがね、どんなふうに悪用するんですか、これ。

じゃあ実際、私に対して  どこかの会社がやったみたいにね、お前は部落もんだからっていうことで、私に対してね、出版事業なんかやるなとかね、  みたいなひとがいたとしたら、じゃあ何します、僕に対して。全国部落調査これを使って。何をしますかってことですよ。

 

記者:だからそういう 知らしめる状態に置いたのは、違法でないかというのが原告の主張なわけですよ。

 

宮:差別に使われるっていうわけでしょ。差別に使うってどうやって差別に使うんですか。具体性がない

 

記者:今おっしゃったじゃないですか。それをやるなというその理由にこのリストに載ってっていうのが理由になるわけですよ。

 

宮:  何がリストに載ってるんですか。

 

記者:だからその、住所が、本籍地なり住所が載ってじゃないかというのが理由になるわけですよ。

 

宮:なんで本籍地が載っているのが理由になるっていうのがまず、その考えがおかしいんですよ。

 

記者:おかしいじゃなくて、そういうのがこれまでにあったというのが原告の主張なわけですよ。

 

宮:あったんだったら、だって本籍地がね、本籍地で分かるって言ってるこの主張は嘘ですよ完全に。

 

記者:だからその、嘘かどうかじゃなくて、被害が出ているという主張が上がってる。

 

宮:被害が出てるとしたら、なんでね、本籍地が部落か、あの本籍地なんて  北方領土でも移せますよって、なんではっきり言わないんですか。なんで本籍地で部落というふうに分かって差別されますって、なぜそれしか言わないんですか。そうじゃなくて、本籍地というものは、誰でも移せますよと。

大正時代の頃には完全に意味がなくなってる。それこそ人口  みたいなもので、そこに戸籍の書類が置いてあるぐらいの意味しかなくて、どこでも移せるんですよね、本籍地は。なんでそういうものが、出自とか血筋とか関係あるのっていうところなんですよ。大正時代からそういう状態なんですよ。それを一言言えば済むのに、なんでそのことをね、知ってて言わないのかと。

なんで戸籍だから部落が分かるのか、だから部落の場所は言うなというふうに、なんでそういう話になるんですか。そういう話で言うんであれば、誰かの戸籍見て、本籍地があります、どこそこの何々です、ていうのも国立国会図書館のサーチに入れて、部落、解放、同和とかね、隣保とか、改良住宅とか入れると、それらしい資料がぱーっと出てきて、じゃあ、図書館に行って見ると、「あぁ、やっぱあそこは、ドンピシャだ」という話になるわけですよ。

だけど、僕が言ってるのは、そんなことにそもそも意味ないですよ。本籍地はどこでも移せるじゃないですか、今。それはもう大正時代からそういう状態になってるじゃないですか。そういうことを間違いだというふうに否定するのが解放運動だったんじゃないんですか。なんでそのね、嘘を世の中に広めてね、そのことでとばっちりを受けないといけないんですかっていうことですよ、研究してる人が。

 

記者:つまり、戸籍で差別されないように解放運動はみんな一斉に本籍地を移すという運動をすべきだということですか。

 

宮:移さなくても、本籍地で、本籍地が部落か部落でないかっていう情報には、そもそも意味がないですよっていうことなんですよ。移そうが移さなくても。

 

記者:論争してもしかたがないんで、ここは記者会見する場なんで。

つまり、どこが研究なのかということが、リストを載せるというだけのものが研究になるっていう意味がよく分からない。

 

宮:私も、ネット放送で神社の研究をしている人から、素性がばれるとやばいということで、誰かというのは言えないんですけどね、神社の研究をしてる人から言われたんですけどね。神社の研究をしてると、それはもうそうとう部落がらみの資料が出てくると、一杯。というのはその、神社っていうのは、賤民がいないと成り立たなかった。

例えば、地方によって違うので、全部がそうってわけじゃないですけど、例えば神社の神楽とか、獅子舞とかね、ああいうのは賤民が担ってた。なんで賤民が担っていたかというのは、やっぱ昔の人の宗教観として、賤民というのはその、穢れというものを払う力がある。普通の人だったら穢れに近づくと病気になったりするけども、賤民というのは普段からそういうものに対する耐性を持っているという考え。だから神社の祭祀とかいうのにすごくかかわって、賤民がいないと神社の祭祀というのは成り立たなかった。だから今でもその、関東だったら白山神社が部落に多いっていうのが有名な話ですし、白山神社じゃなくても、神社の周りにですね、結構部落があるっていう、

 

記者:だからそれは、民俗学や宗教学の論文として書かれるならともかく、単なるリストが、何の注釈もないものが、なぜ研究になるのかってことを聞いてるんです。

 

宮:じゃあ、リストだったら研究にならないと、じゃあリストじゃなかったらいいんだと、

 

記者:そんなこと言ってない。研究というのは、研究論文の、報道なら報道式の様式、一定の必要な要素ってあると思うんですけど

 

宮:じゃあ、国会議員の一覧みたいな、そういうものは研究用の価値がないということですかね。

 

記者:そういうことを言ってるんじゃなくて、それはリストなわけですよ。それを使って何かを書くというのが研究であり、報道であり、論文ということで、それはリスト、資料。

宮部さんが出している物は、資料であって研究なのかということです。検索用資料かもしれないけれども

 

宮:少なくとも今回の裁判ではそういうことが争点ではないです。

じゃ仮に研究じゃなかったら、じゃ出すなっていうことですか。

 

記者:そうじゃない。研究とおっしゃってるから、その研究とおっしゃる根拠を聞いてるんです。質問なわけです。論争じゃありませんから。

 

宮:80年前の資料ですからね。歴史資料を、そういうものを、私が出してる本冒頭に書いてます。書いたんですけども、とにかくこれ相当間違いもあるっていうふうに言われてるし、現在地についても全部は分かってないから、是非連絡して下さいっていうようなことを書いてたんですよ。だからそういう意味では、研究と言えば研究ですよね。

実際その神戸だったかな、地元の  電話がかかってですね、なんかあれこれあれこれうんちくたれるんですよ。要点を言ってくれって言ったら、全国部落調査が欲しいてことなんですね。なんでかっていうとね、やっぱ調査士にはすごく欠かせないんですよ。

私今座間市に住んでるんです、座間市で  講演とか聞くとですね、例えば座間市の鈴木姓っていうのはね、鍛冶屋の家系だとかそういうことを言うんですね。これも結構微妙な問題があってですね、座間市の鍛冶屋は鈴木姓って、鈴木って実は雑賀衆の姓なんですよ、鈴木っていうのがあるんですよ。雑賀衆っていうのは鉄砲を作ってましたからね。鉄砲鍛冶が多いんです。だからおそらくその系統になるだなと思うんですけども、  有馬町でそこは全国部落調査に載ってるんで、被差別部落とされてたんです。おそらくその、全国部落調査だけじゃなくてですね、他にも記録映画があるんですけども、

 

記者:裁判に関係のある話を、できるだけ

 

宮:裁判に関係ある話。ただまあ、少なくとも研究目的はどうかっていうことが、それは裁判の主な争点ではないです。解放同盟がそう主張してるってだけの話なんで。

 

記者:争点であるかないかじゃなくて、なぜ研究目的と言えるのかということを聞いてるだけです。まあ、じゃあ、いいです。

 

宮:全国部落調査を出すと、出版が許可されたらですよ、たぶん現在地の特定っていうのも相当進むと思うんですよ。私が次の段階としてちょっとやってみたいと思ったのが、国勢調査の小地域別集計があるんですよ。それこそ町名単位で、いろいろ載ってるものをね、職業構成とかそういうもの、そういうのが全国部落調査とつきあわせるとですね、例えば全国部落調査、上中下と生活程度があるんですよ。生活程度っていうものが、現在の国勢調査から見える職業とか位で、どうなってるか。つまり階層として当時から継承されているかっていうと、たぶん分かると思います。おそらく相関性があるっていう結論になる可能性も考えられるし、相関性がないっていう結論になる場合もあります。あとは興味があるのは、宗教と部落の関係です。

 

記者:だから裁判との関係のある話を

 

宮:研究目的っていうことは、研究目的かって質問になるとそういったことです。

まず裁判との関係って、今回裁判官が全国部落調査って、はっきりいってあんまし興味持ってないみたいなんですよ。解放同盟関係人物一覧の話ばっかししてましたけど。そういう意味であればその、裁判の関係で言えば、身もふたもないんですけども、全国部落調査にあんまし裁判官が興味ないようなふりなんですよね。今回の口頭弁論に関しても。全国部落調査の出版が研究目的かどうかということまでの話も、一応説明はするんですけども、そこが主な争点になってるかどうかって よく分からないです。

私としては、ああいう出版物を出すっていうことは研究の一環として認められていいと思ってます。史実として分かることは相当あると思います。

 

解放同盟とね、新宿で会ったときにはね、いったん全国部落調査を閉じて、そういうのを一緒に研究したらいいんではないかと言われたんだけども、そんな解放同盟に言われたから出版やめるなんてことをやっちゃあ、解放同盟の言うとおりの研究しろってことでしょ、それは。そうすると、それこそその、天動説と地動説の議論はするのにね、教会とか聖書に敬意を払ってくれみたいな話になってしまうんで、そんなの学問じゃないじゃないですか、そんなことは。

 

だから、別に解放同盟だけが同和団体じゃないわけです。全国連なんかもあるし、人権連もあるし、同和会もあるし、愛する会なんて団体もあるんですから、学問て言うんだったら、なおさらその特定の団体の言うとおりにしろっていうのは、それは受け入れられない話だと私は思います。

 

次回の弁論は・・・

 

宮:次回の弁論はですね、12月12日で、14時から103号法廷、また同じ所です。

 

弁護士さんは・・

 

宮:こんなの引き受ける弁護士いないでしょ。

他の裁判もやってるんだけど、ちょっと弁護士にちょっといろいろ不信感というものがあってですね、じゃないんだけども、私も今回その、訴訟とかね、そういうのをネットに載せてるって  されたんだけども、別に全部載せてるわけじゃないですからね。いろいろ証拠とか来てるけど、ひっちゃかめっちゃか捨ててるわけじゃなくて、弁護士がついてるとですね、訴訟とかをネットに載せると、やめろって言われるってのは目に見えてるんですよ。